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自画像5.gif
​みちのせかいいろ
​Unknown world - color
 幼い頃、夏に海水浴場に行った時、どんな場所か気になって、規制線のブイのぎりぎりまで従姉妹たちとゴムボートを漕ぎ進めたことがある。

 ブイの下は水深が3m以上ある未知の世界。海底は見えない。
 ボートから海面に足をつけると浅瀬よりはるかに水温が冷たく、いくら足を伸ばしても地につかないため何だかゾワッとして、少し恐怖
があった。

 それでも私たちは怖いもの見たさで、しばらく海面をじっと見つめていた。

 すると、美しい色のが一匹、海面付近を掠めて消えていった。


 ほんの一瞬だったが、未知の世界の一端を垣間見れたことに、私たちは大いに喜んだ。
 『水族館で見られるような魚が、この下にはたくさんいるのかも』そう思ってワクワクしたが、子どもながらに肉食の魚に足をつつかれる想像をしてしまい、また怖くなって足を引っ込めたのだった。

​ みちのせかいいろは少しの恐れと憧れのいろ。今でもあの海には、私の知らない世界が広がっている。

【いろに含まれる成分】
規制線、恐怖感、魚
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