​わたしクレヨン

　私は早起きが苦手だ。それは小学生の頃から大学生になった今でも変わらない。
嫌なことや面倒なことから自分を守ってくれるベッドに引きこもると、安心できる。

　たまに早朝にふと、目が覚めてしまう時がある。小学校の夏休みのあの日もそうだった。二度寝をする気も珍しく起きなかったので、眠い目を擦りながら実家の庭に出て、『たまには水やりでも』と、ホースを握った。

　すると大きな観葉植物に、透き通った緑色のショウリョウバッタが止まっていた。気づかずにうっかり水をかけてしまったので申し訳ない気持ちになり、しばらく観察していたが、彼は葉の上で微動だにせず、ただじっと触覚だけを動かしていた。

　早朝の空気を肺一杯に吸い込みながら見たバッタは、何だかとても美しかった。

​　はやおきいろは、その記憶を鮮明に思い出させてくれるいろだ。