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​かいとういろ
​Answer - color
 今でこそ美大に居るが、私は小中高、全て一般の学校の出だ。
大学も、高校2年までは一般のところへ行くつもりでいた。
ではなぜ現在、美大にいるのか。それは、自分なりの『解答』を見つけたからだ。

 小学生の頃、勉強が大得意だった。
どの科目でもよく100点を取っていたし、授業で新しいことを身につけ、正しく解答を導き出す工程が楽しかった。

 しかし、中学校に入ってから、学力の雲行きが怪しくなった。80点をとることもまれになっていた。そのまま
気づけば、高校2年生に学年の最下位、赤点を取るまで落ちこぼれていた。
勉強への興味はすっかり消え去り、授業で居眠りを繰り返した。やめようと思っても、どうしてか簡単にはやめられない。解答用紙を空白にする日々が続いた。

 進学校だったこともあり、講師たちには厄介な生徒として認知されていたと思う。
『一度受験に落ちて思い知れ』と罵られたこともあった。
悔しい気持ちは痛いほど感じていたが、すでにどん底にいる私には何もできることはない、と半ば諦めていた。

 そんな中、昔から変わらない好きなことがあった。それは美術だ。絵を描くことに学力は関係ないし、人を選ばない。たとえ落ちこぼれていたとしても、気兼ねなく打ち込めるのがとても心地よかった。

 そして進路を選ぶとき、一般大学より先に思い浮かんだのが美術大学への道だった。『私が生きのびる道はこれしかないかもしれない』、そう直感した。
趣味レベルだった技術を磨き直すため、遅いスタートを切って画塾に通った。
画塾で新しいことを学んでいくのは、何だか小学校の時の様に楽しかった。


 これは自分にとって正しいのか。急に舵をとったこの道に進んで本当に大丈夫なのか、不安でいっぱいだったが、現在は無事に美術大学に所属して、自分の好きなことを楽しく学べている。


​ 自分の解答は間違いではなかった。そう思えたことが何より嬉しかった。

 かいとういろは苦悩と選択のいろ。私が今ここにいる理由を示してくれる。

【いろに含まれる成分】
勉強、赤点、美術
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